お盆の季節がおわりました。 何となくぼっとした心の安らぎに包まれています。
お初盆でいろいろ心を尽くされたご家族では、その思いもひとしおのこととお察ししております。
「土用半ばに秋風ぞ吹く」
と昔の人は歌いましたが、それほど日本の季節の移り変わりは早いもの。だからこそ、日本人の季節
に対する感覚がとぎすまされて来たのでしょう。わびとさびを知る豊かな感情がそこで育まれたのです。
ところが昨今は、情緒不安定というか、感情喪失というか、自然を愛すると口ではとなえながら、草木
鳥獣を痛め付ける人の何と多いこと。コアラという動物に対しても、人間のやっていることは残酷な行為
なのです。やたらに行う植物や昆虫採集もそうです。すべて自分を中心にものをかえりみるゆとりを無く
したとしたら、此の世は乾ききった砂漠になってしまうでしょう。
そんな干渉にひたっていては飯が食えないと叱られるかもしれませんが、たらふく食べていても人間
には生命の終着駅があるのです。感傷にふけるのではなく、心の豊かさを培なうことなのです。
三界の万霊にやさしい思いやりを贈ったお盆の心を、この地球の上の生きとし生けるものに配りなが
ら行動したいと思います。
朝晩のさわやかな空気に頭と心をすまし、人間と自然とのかかわり合いに血をかよわせることが、
仏心の初露となることでしょう。
「百 八 法 話 集」
・・・合 掌・・・